【相談者】女性
相談前
ご相談企業は上場準備中であり、一方で進行中の事業譲渡に伴いSNSアカウントの承継が不可欠となっていました。
しかし、SNS事業者の利用規約にはアカウント譲渡禁止の規定があり、形式的には事業譲渡に伴う承継も違反に該当するのではないかと懸念されていました。
企業としては経営上アカウント承継の必要性を理解しつつも、上場を控えているため明確な規約違反行為は避けたいとのご希望がありました。
相談後
弁護士が規約内容を精査したうえで、事業譲渡の実態と利用規約の趣旨を踏まえた目的論的な解釈を提示しました。
その結果、単なる第三者譲渡とは異なる「事業承継」として位置づけることで、監査担当者や審査機関から利用規約違反と判断されるリスクを最小限に抑えつつ、SNSアカウントの承継を適法かつ安全に進める道筋を確保することができました。
弁護士からのコメント
上場準備中の企業にとって、法令や規約違反のリスクを最小化することは重要課題です。
本件では、形式的には譲渡禁止条項に抵触する可能性がある中で、規約の趣旨を踏まえた解釈を行うことで、「無検討に違反行為を行っている企業」と評価されるリスクを抑えつつ、事業譲渡を予定どおり進めることができました。
企業法務においては、「経営上どうしても必要な行為」と「コンプライアンス上のリスク」を両立させる調整が不可欠です。リスクを適切に見極めながら対応するためにも、早期に弁護士へご相談いただくことをお勧めします。